2014年12月24日水曜日

スモールビジネスは、なぜ、成功しないのか?(73)

まとめ(11)「売り上げを伸ばす方法」(4)
「的のない矢は当たらない」
 
 
 
 
こんにちは。前回、新規顧客の開拓をするにあたり、「顧客は何を買うのか?」についてお伝えしましたが、今回は、「売り上げを伸ばす方法」として、企業側の新製品開発に焦点をあててお伝えしたいと思います。

新製品を開発する初期費用が安いと、思いつきで新製品を作り、テストマーケティングもせずに売り込んでくる会社がありますが、そういった会社の製品を見ると、「この製品は、いったい、市場の誰が買うのか?」と思う時があります。

たとえば、鉄工所が製造販売する園芸用品、造園業が販売する食品など、異常なポジショニングの製品は論外としても、ある日突然、誰が買うかすら調べずに、本業と何ら関係のない製品開発をしても、上手く行くはずがありません。

やはり、的のない矢は当たることはありませんので、既存市場の誰のどんな不満の解決策として開発した製品なのかをはっきりさせてから製品開発することが必要です。

新規顧客を狙うのであれば、既存市場の新規顧客は、現時点では、競合他社の顧客ですから、市場で競合他社が満たせない「顧客の不満」は何かを見極めて、そこに集中した製品開発が必要です。

たとえば、飲料なら、市場全体のニーズは、のどの渇きを潤すのがニーズであり、顧客のウォンツは、のどの渇きを潤す時に、どのような「満足感」を伴うかです。

仮に、狙った新規顧客の不満が「清涼感」なら、競合他社の製品と、どのような「清涼感」で「顧客の不満の解決策」を提供すれば、競合他社の顧客が自社の製品に乗り換えて来るかを探った上で、新製品開発をします。

このように、既存市場で、新製品開発によって新規顧客を獲得したいのであれば、競合他社の顧客の「不満の解決策」が自社の新製品になるような製品開発が必要最低条件となります。

市場を顧客の属性で分類すると、「自社の顧客」、「自社がロストした顧客」、「競合他社の顧客」の3種類の顧客に分類できますが、新製品開発で行うことは、

「自社の顧客」=「自社の製品の不満」
「競合他社の顧客」=「競合他社の製品の不満」
「自社がロストした顧客」=「自社の製品の不満」もしくは、「競合他社の製品の不満」もしくは、「自社と競合他社の製品の不満」

これらの顧客の不満の「解決策」として、新製品開発を行います。

ところで、前回、売り上げを増やすために、「自社の顧客」→「自社がロストした顧客」→「競合他社の顧客」の順番にアプローチすることが最小コストで最大効果が狙えるとお伝えしました。

この順番でアプローチした場合、「自社がロストした顧客」は、「自社と競合他社の製品の不満」の2つの解決策が必要な時があるので、2番目にアプローチするのではなく、最後にアプローチした方が良いのではないかと思われる方もいらっしゃると思います。

ところが、そうではなく、「自社がロストした顧客」は、「自社の不満の解決策」だけで取り戻せることがありますので、収益性が最大になるのは、やはり、2番目にアプローチすることです。

これを、プロモーションの視点で、もう少し細かく説明いたしますと、プロモーションする順番は、

1 「自社の既存客」に新製品(自社の不満の解決策)のプロモー
ション
2 「自社がロストした顧客」に新製品(自社の不満の解決策)のプロモーション
3 「自社がロストした顧客」で顧客化できなかった顧客に新製品(競合他社の不満の解決策)のプロモーション
4 競合他社の顧客に新製品(競合他社の不満の解決策)のプロモーション

といった流れになりますから、仮に、新製品が、「自社と競合他社の不満の解決策」になっていれば、プロモーションは、4回ではなく3回で済みますので、収益性が最大になるのは、「自社がロストした顧客」は、2番目にアプローチすることが効果的です。
 
これらのことからも、新製品開発は、「自社と競合他社の不満の解決策」になっているのが理想的ですが、費用面から実現することが厳しい場合は、「自社の顧客の不満の解決策」に集中した新製品開発を行い、「自社の顧客」、「自社がロストした顧客」で水漏れするバケツの穴を塞ぐような、的を定めた新製品開発をすることが必要です。
 
 
 
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