2014年12月10日水曜日

スモールビジネスは、 なぜ、成功しないのか?(69) まとめ(7) 「なぜ、優秀な人ほど、いなくなるのか?」(2)

スモールビジネスは、
なぜ、成功しないのか?(69)
まとめ(7)
「なぜ、優秀な人ほど、いなくなるのか?」(2)

 

 おはようございます。今回は、スモールビジネス(中小企業)では、「なぜ、優秀な人ほど、いなくなるのか?」という問題に対する2つ目の理由として、「雇用主側がピーターの法則を知らないか、ピーターの法則を従業員に教育できない」といったことを考察し、優秀な人材が流出しないための解決策を探ります。

では、まず、ピーターの法則をご存知ない方もいらっしゃると思いますので、ピーターの法則について簡単に説明いたします。

ピーターの法則とは、階層社会で働く人と組織の法則性を説明したものです。

たとえば、ビジネスでは、会社(組織)にとって、なぜ、「有能すぎる人」は、「無能な人」よりやっかいな存在で、いずれ解雇される運命にあるのか? と、いった問題の本質を教えてくれるのがピーターの法則です。

ですから、ピーターの法則は、社会学の法則ですので、たとえば、ドラッカーの組織論などは、ピーターの法則とかなり近い内容です。

ところで、ドラッカーもヒエラルキーの矛盾について様々な視点で述べています。

ドラッカーは、ビジネススクール(大学院)で、生徒に次の様な質問をしたそうです。

「ある経営者は、現在、自分の会社が帰属する業界は衰退し、業界や会社の将来が心配されるが、そんな中で、経営者は事業継承することを決めて、最終的に2人の候補者を選んだ。

一人は、革新的なタイプで、会社の過去にこだわらず、新たな分野にどんどん挑戦する人物。そして、もう一人は、全く逆のタイプで、職人肌で保守的な人物。

2人とも経営者自身が手塩にかけて育てた人物だが、経営者は、最終的にどちらの人物を後継者に選んだか?」

この質問は、経営者にとっては、考えるまでもない質問ですが、こういった組織論に関しては、不思議と管理職を対象にした研修でも、ほとんど研修の対象にされません。

しかし、こういったことを含め、ピーターの法則を学べば、経営者の問題に限らず、会社において、一見矛盾するような人の行動がなぜ行われ、どのように対処すれば良いかがある程度判かり、優秀な人材の流出も防ぐことができるようになれる可能性があるのです。

冒頭で、ピーターの法則では、会社(組織)において、「有能すぎる人」は、「無能な人」よりやっかいな存在で、いずれ解雇される運命にある。と、お伝えしましたが、「無能な人」が解雇されるのは判りますが、なぜ、「有能すぎる人」が、「無能な人」より邪魔者扱いされて解雇されるのか? 不思議に感じると思います。

ピーターの法則で言われる「有能すぎる人」とは、以下のような人です。

「試用教員のC・クリアリーの場合、最初の勤務場所は、知的障害者のいる特別学級でした。「あまり張りきりすぎないで」と忠告されていたにもかかわらず、彼は自分にできることを骨惜しみせずに生徒に教えました。

そして一年たってみると、統一学力テストの読解と算数の分野で、C・クリアリーが受け持ったクラスの生徒たちは、普通学級の生徒達よりも高得点を取るようになっていました。

しかし、そんな成果をだしたはずのC・クリアリーは解雇されました。その理由は、知的障害児たちに推奨されているビーズづくりや砂場遊びなどを全部さぼった、という理由でした。

確かに彼は、教育委員会がわざわざ購入した粘土やおはじきやフィンガーペインティング用の絵の具などを活用しませんでした。

たいていの階層社会において、有能すぎる人は、無能な人よりも不愉快な存在なのです。無能な人は、無能なだけなら解雇の対象になりませんが、ところが、有能すぎる人は解雇されることが少なくありません。

なぜなら、有能すぎる人は、チームプレーを忘れ、階層社会を破壊してしまうため、「階層は維持しなければならないという、階層社会第一の掟」に違反するのです。

野球で言えば、WBCで日本のチームは、派手な個人プレーができる選手がいたにも関わらず、チームプレーに徹した結果、優勝できました。

ところが、キューバのように、派手な個人プレーをする選手まかせのチームは、優勝候補筆頭であったのにも関わらず、意外と勝てませんでした。

同様に、ビジネスでも、派手な個人プレーが出来たとしても、ルールに沿って組織的な行動ができるプレイヤーであることが望まれているのです。

では、もし、有能すぎる試用教員のC・クリアリーが、教員研修でピーターの法則を学んでいたら、はたして、解雇されていたでしょうか?

実にもったいない話ですが、このことにおいても、社員の個人責任を追及する経営者は本末転倒です。

なぜなら、C・クリアリーのような有能な人材であれば、ピーターの法則を織り込んだ組織論の教育研修をすれば、チームプレーが何かを理解した上で、平均的な人より優れた能力を発揮できるのです。

そして、さらに現実的な問題として、ほとんどのスモールビジネスの経営者は、求人する時点からスキル研修以外の社員研修をしないのを前提にしているのです。

しかし、経営者自身は、会社を経営するためには、経営戦略、マーケティング、組織論、財務・会計、開発・製造・生産・工場・製品・店舗・・・、などの管理術、法務、労務・・・と、あげれば限がないほど、学ばなければなりません。

では、将来、後継者候補になる可能性のある有能な人は、ピーターの法則すら学ばなくても良いのでしょうか?

せめて、スキル研修以外にも、自社の経営戦略、マーケティング、組織論くらいの研修をして、優秀な人の流出を防いだ方が良いはずです。

なぜなら、人は教育によって、生まれ変わることができるのです。


 
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