2014年12月8日月曜日

スモールビジネスは、 なぜ、成功しないのか?(68) まとめ(6)「なぜ、優秀な人ほど、いなくなるのか?」(1)

スモールビジネスは、
なぜ、成功しないのか?(68)
まとめ(6)
「なぜ、優秀な人ほど、いなくなるのか?」(1)
 
 



 おはようございます。今回は、スモールビジネス(中小企業)では、「なぜ、優秀な人ほど、いなくなるのか?」について考察します。

スモールビジネス(中小企業)の経営者にとって、この問題は、非常に頭の痛い問題ですが、この問題の原因は、2つです。

一つは、「会社にビジネスシステムやガバナンスなど、会社を円滑に運営するために必要なシステムやルールがない」。

そして、もう一つは、「雇用主側がピーターの法則を知らないか、ピーターの法則を従業員に教育できない」のが、その原因です。

いづれにせよ、原因は、全て、経営者側の無知、もしくは怠慢によって、生み出されるものです。

では、具体的にどんなことか見ていきましょう。

まず、一つ目の「会社にビジネスシステムやガバナンスなど、会社を円滑に運営するために必要なシステムやルールがない」ですが、これは、何度かご紹介しましたが、マイケル・E・ガーバーの著書に出てくる主人公の「パイ焼き職人の経営者サラ」が典型的な例です。

サラの勘違いは、サラにとって、会社(店)は、サラが美味しいと思うパイを焼いてお客さんに売る場所ですが、お客さんからすれば、サラのお店でなくても美味しいパイは買えるのです。

また、サラ本人が作って売るパイが食べたいのではなく、単純に美味しくて、リーズナブルな食品であれば、誰が作って売っても良いのです。さらに言えば、サラ個人に興味があってパイを買うのでもありません。

つまり、職人サラの致命的な勘違いは、製品(商品+サービス)に自分自身を埋め込んで、それが顧客から喜ばれる製品だと勘違いし、お店に来る顧客のニーズを見失っていました。

そして、顧客が食べたい食品を売るのではなく、自分が作りたいパイを売るようになりました。

まるで、職人サラは、「私が作りたいパイは、きっと、あなた(顧客)は食べたいはずよ。」と言わんばかりでした。

このように、職人サラは、自分マーケティングを続けていたため、顧客のニーズを見失い、行き詰まってしまいました。

そして、このような職人的な自分マーケティングをする経営者は、会社は自分の持ち物や財布だと思っている人がほとんどです。

よく、求人情報でも、「あなたの出番です!」、「弊社の自由な社風であなたの能力を存分に発揮してください!」といった、経営者が責任放棄した無責任な求人広告のタイトルを見ますが、こういったタイトルで求人広告をしている会社が、典型的な「ビジネスシステムやガバナンスなどのルールがない会社」で、「自分マーケティングが大好き」な会社です。

そして、会社は経営者の持ち物となり、経営者の財布です。ですから、当然、そんな会社で働く人は、自分が頑張れば頑張るほど空しくなるのです。

また、不思議とそういった会社の経営者ほど、なぜ、優秀な社員や頑張る人ほど会社で頑張って働くことが空しくなるかがわからずに、経営者側の考え方や行動が会社のルールだと言わんばかりに優秀な社員や頑張る人に自分の意見を押し付けてきます。

こういった事がそもそも優秀な社員が定着しない原因だと気づけても、その改善策として、従業員やパートタイマーの人にまで責任転嫁するための会議を増やして、返って働く人の負担を増やすことがあります。

たとえば、ある小売店の例では、「現場の事は現場の人がよく判っているのだから」と嘯き、パートタイマーの人にも会議という名の決意表明会に参加させ、参加した人が今後、何をするかまでも書かせて、本来、経営者側が考えて解決すべきことを売り場で働く人に責任転嫁していましたが、流石にこうなると、たとえ誰もが知っているような有名な会社でも、水漏れするバケツの様に働く人が辞めて行くのは当然なのではないでしょうか。

また、手軽で安いという理由から、自社の心臓部といっても過言ではないカスタマーサポートを派遣会社にまる振りするメーカーが増えましたが、マニュアルを丸暗記させてロールプレイング研修をして、その後、マナー研修をしたところで、そもそもが稚拙な理由で派遣会社に登録して働いているような人物に、社の将来を左右するカスタマーサポートをさせて良いのか、よくよく考えて猛省すべきではないかと思います。

以前もお伝えしましたが、会社は経営者のものではなく、ましてや、経営者の財布でもありません。

会社の真のオーナーは、顧客なのです。そして、経営者の仕事は、真のオーナーである顧客の要望に沿って、会社を改善して発展させるのが経営者の仕事であり、使命なのです。

そして、そこから、自社のビジネスシステムやガバナンスなどのルールを作れば良いのです。

このことが真に腑に落ちて行動すれば、その経営者は、「なぜ、優秀な人ほど、いなくなるのか?」が自然と判るはずです。

では、次回は、「なぜ、優秀な人ほど、いなくなるのか?」という、もう一つの理由である、「雇用主側がピーターの法則を知らないか、ピーターの法則を従業員に教育できない」ことについて、お伝えします。