2014年11月26日水曜日

スモールビジネスは、 なぜ、成功しないのか?(65) まとめ(3)「ワンマン経営の本質」

スモールビジネスは、
なぜ、成功しないのか?(65)
まとめ(3)「ワンマン経営の本質」


 

 おはようございます。さて、「ワンマン経営」と言うと、「えっ、それ、何ですか?」と、言われそうで、死語になったイメージの言葉ですが、ところが、そうでもなく、現在も普通に使われています。

ワンマン経営という言葉は、社長が独裁的な恐怖経営をするブラック企業というイメージがありますが、そうではありません。

たとえば、2008年の年末に、東京の日比谷公園で、派遣村という雇用難民の人達を救済しようという運動がありました。

ところが、派遣村に雇用難民として集まった人には、日雇いや期間労働者も多くいて、それなりの給料をもらっていたりしたため、翌月の15日には閉鎖されました。

この時、宣伝効果を狙ったのか、ハローワークに名乗りを上げて大量雇用を申し出た会社が何社もありましたが、それらの会社の多くが、典型的なブラック企業でした。

たとえば、ある会社は、希望者は無制限で受け入れると豪語していましたが、一人の応募者すらいませんでした。

その会社が提示した雇用条件は、大卒以上で日雇いや期間労働の6割くらいの給与で、寮はなく、受け入れ態勢は何もないと言うよりは、派遣村で日雇い労働をした方がはるかに労働条件が良いのです。

当然、その会社は新聞各誌からも、人の弱みに付け込んだ悪質な会社と痛烈な批判を受けましたが、その会社の社長は、マスコミの取材にも一切応じず、行政も何もしないままでした。

一般的に、こういったブラック企業の社長が行う会社経営がワンマン経営というイメージがありますが、政治でも恐怖政治という言葉があるように、こういった会社の経営は、恐怖で人を支配する恐怖経営で、決して、ワンマン経営ではありません。

ワンマン経営とは、「決断においてワンマンである経営」の事で、「全ての責任は社長が取る」といった経営です。

ですから、会社経営において、ワンマン経営は、いたって当然のことです。

また、これもよくありますが、社の方針に係わることでも権限移譲をして、責任を部下に取らせ、それを民主的な経営だと信じている社長がいますが、それは、民主的ではなく、責任放棄した無責任経営で、無責任経営を続けていると、多くの場合、事件や事故が起きて、会社の信用を失墜し、衰退の一途をたどることになります。

ワンマン経営には様々な利点がありますが、ワンマン経営の最大の利点はピンチに強いという点です。

パナソニックの旧式石油ストーブの回収と保障、日産のゴーン氏による会社の再建、トヨタのリコールに対する社長自らの対応を見ればわかるように、社長自らが勇猛果敢に会社の責任を取る姿勢がなければ、会社の再建や成長は望めません。

また、内容にもよりますが、クレームが起きると、社長に連絡があっても、担当者から連絡させますと従業員に言わせて、非常に無責任な逃避をする社長がいますが、そのような行動をした場合、即時、取引停止になることが殆どです。

以下は、以前ご紹介いたしましたが、本当のワンマン経営とは何かを理解する上で非常に役立ちますので、参考にしてください。


出典:経営の思いがけないコツ 一倉定著

クレームに社長自ら駆けつける 

 S社は牛モツの納入業者である。同社はモツの鮮度保持に、あらゆる努力を惜しまない。そのためにお客様の信頼は絶大である。

ある時、大手スーパーから、モツの鮮度についてのクレームがついた。社長は、ただちにお客様のところに駆けつけた。現物を見ると、それは別の会社からの納入品であった。

バイヤーが待っていて、「あなたのところは、クレームをきくやいなやただちに社長が駆けつけてきた。

それに反して、クレームを起した会社は、社長どころか、セールスマンさえも顔をださない。」と怒って、その場の欠席裁判でライバル社を出入り禁止とし、S社長に、「我が社は二社購買が方針だが、事は衛生問題である。

仕入部長には私が事情を報告して了解をとるから、明日から全量を納入してもらいたい」と決めてしまった。

S社長いわく、「クレーム処理は儲かりますね」と。
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