2014年7月11日金曜日

スモールビジネスは、なぜ、成功しないのか?(49) ビジネスモデルを創るステップ(18) 「見込み客の顧客化」(9)


スモールビジネスは、
なぜ、成功しないのか?(49)
ビジネスモデルを創るステップ(18)
「見込み客の顧客化」(9)





ポジショニングの法則の最後の項目、マーケットシェアでのポジショニングのポイントは、1つしかない。

それは、「顧客は、最小コストで最大効果を実現するために購買行動をする」。この理解と実現である。

誰もが衝動買いできるような安価な製品を除いて、企業の製品は、市場で、販売価格において「ナンバーワン」で安いか、その企業しか販売していない「オンリーワン」の製品でなければ、売れないのである。

そして、市場において、「ナンバーワン」もしくは、「オンリーワン」になるための方法を見つけ出し、実行し続けることが、唯一、その企業の生き残りを保証するのである。

では、その「ナンバーワン」、「オンリーワン」について詳しく見て行こう。

市場に存在する企業は、次の4種類のタイプのポジションに分類される。

1 マーケット・リーダー「価格戦略」
2 マーケット・チャレンジャー「差別化戦略」
3 マーケット・フォロアー「差別化戦略」(2の模倣)
4 マーケット・ニッチャー「集中戦略」(ニッチ狙い)

売れ筋商品を市場全体で最安値で販売するのが、1のマーケット・リーダーの「価格戦略」である。

2のマーケット・チャレンジャーは、売れ筋商品を最安値で販売できないが、マーケティングの7Pの価格以外の何かで、1のマーケット・リーダーよりも競争優位性を持たせる戦略である。

たとえば、販売価格を1のマーケット・リーダーと同等以下にできないが、1のマーケット・リーダーよりも保証内容を良くするとか、あるいは、在庫を豊富に持って短納期で納品可能といった、マーケティングの7Pの価格以外の何かの内容で、顧客の購買欲求にアピールをする戦略である。

3のマーケット・フォロアーは、基本的に2のマーケット・チャレンジャーの物真似だが、2のマーケット・チャレンジャーほど顧客にアピール力がないものである。

たとえば、2のマーケット・チャレンジャーの差別化要素が短納期だったとしたら、2のマーケット・チャレンジャーの真似をするか、できないなら、2のマーケット・チャレンジャーが行っていない別のベネフィットで差別化する戦略である。

4のマーケット・ニッチャーは、1~3のポジションの企業が取りこぼした特定の顧客だけを対象にした戦略である。

たとえば、離島だとか山間地のような交通の便が悪い場所の顧客だけを対象にするとか、あるいは、60歳以上の顧客だけを対象にするとか、1~3のポジションの企業が満たせないニーズを持ったターゲットとなる顧客層に限定してマーケティングを行う戦略である。

また、これら3つの「価格戦略」、「差別化戦略」、「集中戦略」は、個々にマーケティングの手法が異なるので、特に注意して欲しい。

「価格戦略」は、市場全体の不特定多数の見込み客を対象としたマスマーケティングを行う。従って、豊富な経営資源を持った企業だけが行える戦略である。

「差別化戦略」は、市場で価格以外の特定のニーズを持った見込み客を対象としたセグメントマーケティングを行う。この戦略も豊富な経営資源を持った企業で、主に、後続参入した企業が行う戦略である。

「集中戦略」は、市場で「価格戦略」、「差別化戦略」では満たせないニーズを持った特定の見込み客だけを対象としたターゲットマーケティングを行う。

そして、特に、スモールビジネスでは、「集中戦略」、つまり、市場で「価格戦略」、「差別化戦略」では満たせないニーズを持った特定の見込み客だけを対象としたターゲットマーケティングしか行わないのが基本原則である。

なぜなら、ニッチ市場は、市場規模が小さく、顧客のニーズが顧客毎に違うことが多く、標準化しづらいため、手間がかかる上、売り上げが小さく、大手企業のキャシュフローには見合わないのである。

従って、標準化された製品での安売り競争や差別化競争を得意とした、1~3のポジションの企業が参入してくる可能性がほとんどないのである。

だからと言って、油断してはならない。

ニッチ市場でも、市場全体の市場競争と同じように、ニッチ市場内で「価格戦略」、「差別化戦略」、「集中戦略」が行われ、結局、ニッチ市場でも最安値を実現する企業が、最も市場占有率が高くなるのである。

なぜなら、どのような市場セグメントかに関わらず「顧客は、最小コストで最大効果を実現するために購買行動をする」のだ。


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