2014年4月29日火曜日

スモールビジネスは、なぜ、成功しないのか?(9) スモールビジネスの第2段階「青年期」マネージャーの時代 マイケル・E・ガーバーより

スモールビジネスは、
なぜ、成功しないのか?(9)
スモールビジネスの第2段階
「青年期」マネージャーの時代
マイケル・E・ガーバーより



スモールビジネスには、「幼年期」、「青年期」、「成熟期」の3つの段階があるが、「幼年期」から「青年期」へと成長するための成功のカギは、「変化」に対応することだ。

そして、「変化」に対応して運よく生き残った企業だけが、スモールビジネスの第2段階の「青年期」を迎える。

スモールビジネスの「青年期」は、人手が必要だと感じた時から始まる。

起業から何年後に青年期が始まるといった決まりはないが、職人経営者と数人のアルバイトだけでは処理できないような仕事を抱えたころから青年期がはじまる。

スモールビジネスが青年期を迎えると、最初に抱える問題は社員を雇うことである。

しかし、ここにもスモールビジネスの経営者には、大きなワナが仕掛けられているのである。

職人タイプの経営者は、人手が必要だと感じると、自分ができないか、やりたくない仕事を自分の代わりにしてくれる専門的な能力を持った人を雇う。

営業が得意な職人タイプの経営者は、生産畑の人を探しに行く。生産畑の職人タイプの経営者は、営業が得意な人を探しに行く。

そして、ほとんどの職人タイプの経営者は、帳簿をつけてくれる人を探そうとする。

なぜなら、職人タイプの経営者は、自分が税理士でもない限り、経理の仕事が大嫌いで、なんとかして経理の仕事を避けたいと思っているからだ。

こうして、最初の社員、ハリーを雇うことになる。

彼は、68歳の生粋の経理職人だ。彼は4ケ国語で帳簿がつけられ、22年間、同業のスモールビジネスの会社で経理をしていた。

つまり、経理だけではなく、スモールビジネスを知り尽くしている。

そんなハリーが会社の一員になる。経理以外にも何でも頼める頼りになるハリーが現れたことで、急に世界が明るく思えて来るはずだ。

事業が成長するに従って、経営者の管理能力を超える瞬間は必ずやってくる。

そうなれば、現場との接点を持つことが難しくなり、社内で何が起きているのかさえわからなくなる。

こんな状況に嫌気がさした職人タイプの経営者は、自分の得意な仕事に引きこもり、苦手な仕事を投げ出すためにハリーを雇うのだ。

こうやって、職人タイプの経営者は、マネージャーの役割をハリーに委任するのではなく、放棄するのである。

そして、その責任を担うが、生粋の経理職人のハリーだ。

ところが、ハリーは、職人タイプの仕事しかできないのである。

しかし、そんなことは、職人タイプの経営者には、どうでもいいことなのだ。自分が責任を放棄するためのハリーを見つける方が重要なのだ。

しかし、ハリーには、十分な指示を出す必要がある。事業全体の長期的な計画や、その中でハリーが果たす役割を教えなければならないし、彼の評価をする方法も伝えなければならない。

つまり、ハリーは、彼を管理するマネージャーが必要なのである。

ところが職人タイプの経営者は、この能力を持ち合わせていないために、八リーに仕事を一任して、責任放棄することで、事業が立ち行かなくなってしまうのだ。

そして、職人タイプの経営者の「手ごろなサイズ」を超えて事業が拡大するに従って、会社内部の混乱は加速しはじめる。

それに対する解決策は3通りに分けられる。

一つ目は、「幼年期」に戻ること、二つ目は、倒産に追い込まれること、そして三つ目は、歯を食いしばってでも、これまでのペースで頑張ることである。



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