2014年1月18日土曜日

セールスの本質について


セールスの本質について



 その昔、アリストテレスは「同じ物質でできた二つのおもりを手に取って落とせば体積の大きい方(重いおもり)が速く落ちる」と言いました。そしてピサ大学では長年そう教えてきました。

ところが何年か後、ガリレオが登場し、それを完全に否定しました。ガリレオがピサの斜塔の頂に登り、同じ物質でできている体積(重さ)が明らかに異なる二つのおもりを下に落とすと、それらは全く同時に地面に落ちたのです。

こうしてガリレオは自分の主張が正しいことを証明しましたが、大変興味深いことに、ピサ大学ではその後も体積の大きいおもり(重いおもり)が速く落下すると教え続けたのでした。

これは、いったい何を意味しているのでしょうか。

確かにガリレオは自分の主張が正しいことを「納得」させることはできましたが、人の思い込みを消し去るような強力な「説得」は、できなかったということを意味しているのです。

セールスは「どうやって顧客を説得するか」です。

そして、その最たる方法論は、顧客に正しい主張をして自分の意見で折伏(しゃくぶく)するのではなく、適切な方法で適切な質問をすることにより、顧客のニーズやウォンツを引き出し、それらに沿った誠実で最適な提案によって説得するのがセールスです。

かつて、ピーター・F・ドラッカーは、マネージャーにとって最も重要な資質とは才能ではなく真摯さ(首尾一貫性)であると語りましたが、同様にセールパーソンにとって最も重要な資質とは才能ではなく「誠実さ(首尾一貫性)」です。

誠実さのないセールス・パーソンは、製品と何ら関係のないことで人の注目を集め、
メリットを大げさ、あるいは偽って話し、顧客が本来、必要としていない商品を高額な値段で買わせようとします。

その最たる者には、インターネットや少し暗い個室に顧客を誘い込み、その閉ざされた空間の特徴を利用した色仕掛けや思わせぶりなプロモーションでバイアスかけて高額な商品を販売しようとする劣悪
な人物すら現実に存在します。

人は嘘で偽った行動を取り続ければ、人の行動原理通り、嘘と真実との相克が起き、そのおかしな言動や行動から相手(顧客)にいづれは嘘を見破られ、信頼を失い、そして取り返しのつかない事態に陥ります。
しかし、誠実(首尾一貫)であれば、恐れるものは何もありません。なぜなら、隠すべきものが何もないからです。

誠実(首尾一貫)に物を売る(仕事をする)ということは、同じ商品を同じ人々に売りながら同じ会社で長期的にキャリアを積み重ねることができる唯一の方法です。

そして、そのことが販売実績を安定させ、経済面での安心をもたらすことになります。

こういった活動こそがセールスの本質だと思います。

では、次回は、このような本質を踏まえたセールスを行うあたり、どのような手順で進めればよいか、体型的にフレームワークに沿って説明いたしたいと思います。