2014年7月1日火曜日

スモールビジネスは、なぜ、成功しないのか?(47) ビジネスモデルを創るステップ(16) 「見込み客の顧客化」(7)

スモールビジネスは、
なぜ、成功しないのか?(47)
ビジネスモデルを創るステップ(16)
「見込み客の顧客化」(7)




今回から、ポジショニングの第2ステップ、「なぜ、売れるのか?」という理由を創るマインドシェアのポジショニングについてお伝えします。

前回の復習になるが、シーブリーズのようなメントール系のシャンプーや液体石鹸は、「爽快感」、「清潔感」のダブルベネフィットで見込み客に「製品イメージ」をポジショニングしている。

そして、ハートシェアには、「爽快感」、「清潔感」という「ポジティブな感情」を刺激してポジショニングをしていた。

こうすることで、特に、暑い時期には、普通のシャンプーや液体石鹸よりは「爽快感」や「清潔感」をイメージできる製品の方が売れやすくなる可能性があるのだが、だからといって、自社の製品が売れるとは限らない。

そこで、各社、自社の製品が売れるように様々な方法で「感情」を刺激しているが、ポジショニングする時に、「ネガティブな感情」を刺激しないことが重要なポイントであった。

確かに、怒り、恐怖、悲しみ、失望、憎しみ、嫉妬、苦しみ・・・、といった「ネガティブな感情」の方が「ポジティブな感情」よりも破壊力があり、ハートシェアの占有率を高くすることが容易で、短期間で行動を促すことができる。

しかし、人は、悲しいことがあると、「シャンプーで、すっきりしたい!」とは、思わないのである。

また、「爽快感」や「清潔感」といった感情は、シャンプーと相性が良いが、「悲しみ」といった感情は相性が悪い。

「爽快感のあるシャンプー」という「製品イメージ」は、市場で受け入れられるが、「悲しいシャンプー」といった「製品イメージ」は、笑い話にしかならないのだ。

ポジショニングでは、「ネガティブな感情」を刺激しない理由に、もう一つの理由がある。

その理由は、「ネガティブな感情」は、その原因を排除するか、あるいは避ける性質があるためだ。

人は、激しい怒りを感じたら、直ぐに行動することが多いが、その行動は、購買行動ではなく、激しい怒りの原因を反射的に排除するために行われる行動である。

たとえば、葬式なら、悲しみ、苦しみ、怒り、失望・・・と、様々な「ネガティブな感情」が入り交ざるが、たとえ、亡くなられた方が理不尽な理由によって亡くなられたとしても、「怒りの葬式」といったポジショニングは行わない。

亡くなられた方が死後の世界で幸福(冥福)であるか、残された遺族が幸福であるか、葬式自体がリーズナブルといったイメージを感じさせるポジショニングが行なわれる。

つまり、ポジショニングは、「ポジティブな感情」と「感情と製品との相性」とによって「良好な製品イメージ」を創ってアンカーリングできなければ、購買行動にはつながらないのである。

ところで、このような良好なポジショニングが行われて、見込み客のハートシェアの占有率が高くなったら、次に考えなくてはならないのが見込み客のマインドシェアである。

マインドシェアとは、人の心の中での製品購入の優先順位だ。

どういうことかと言うと、たとえば、どの店でPCを買うかを選ぶ時に、思い浮かぶ店の順番は、ハートシェアの占有率が高い順番に思い浮かぶ。

そして、その時、仮に、10店思い浮かび、3店訪問するのなら、おおよそ、ハートシェアの1番高い店、2番目の店、3番目の店の順番に訪問することになる。

まず、この時点で、見込み客の3店の選択肢にポジショニングされ、優先順位が高くなければ、自社の製品は売れる可能性は、ほとんどないのである。

そして、見込み客は、訪問した3店のマーケティングの7Pを比較して、購入を決定することになるが、この時に、マインドシェアの占有率が一番高い店の製品を買う可能性が高い。

つまり、見込み客のマインドシェアの占有率がA社、B社、C社の順に高いとすると、A社のお店で販売しているPCを買う可能性が最も高いのである。

この統計的結果からも、はっきりと認識しなければならない重要なことが2つある。

1つは、ハートシェアとは、見込み客がお店に来店してもらうためのトリガー(引き金、誘導装置)である。企業間の取引で言えば、競争見積もりに参加するための参加資格である。

従って、ハートシェアの占有率が低いか、ない時は、そもそも、相手にされていないということだ。

そして、次に自覚しなければならないことは、仮にハートシェアの占有率が高かったとしても、マインドシェアの占有率が低ければ売れない。

つまり、製品が見込み客のニーズを満たしていなければ、売れないのである。

たとえば、こんなことだ。

以前、ある人と話をしていた時に、「フェイスブックで「いいね!」や「コメント」をしてくれる人や、アメブロで、「ペタ」や「いいね!」や「コメント」をしてくれる人は、見込み客だという人がいるのですが、本当ですか?」と、質問された。

考えるまでもないのだが、クライアントの質問であったため、ちゃんとテストマーケティングをして調べてみた。

だが、広告媒体が何にせよ、見込み客とは、製品を買う意思をはっきりと明言した人だということを証明しただけだった。

つまり、見込み客は、「信用」できる人が「ニーズ」を満たしている時のみ購買行動をするのである。何かに反応した人が購買行動するのではないのだ。

そして、その可能性を高めるのが、ハートシェアの占有率が高い企業が、マインドシェアの占有率をナンバーワンにすることなのだ。


競争見積もりに参加できるのなら、次に、その市場競争でナンバーワンで見込み客のニーズを満たさなければ、売れないのである。



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