2014年6月25日水曜日

スモールビジネスは、 なぜ、成功しないのか?(44) ビジネスモデルを創るステップ(13) 「見込み客の顧客化」(4)

スモールビジネスは、
なぜ、成功しないのか?(44)
ビジネスモデルを創るステップ(13)
「見込み客の顧客化」(4)





人が生まれながらに持った欲求は、次の5種類に分類される。

 1 「のどが乾く」(生理的欲求)
 2 「安全な場所に住む」(安全の欲求)
 3 「友人を持つ」(社会的欲求)
 4 「尊敬される人物になる」(尊敬欲求 評価の欲求)
 5 「自分の夢を実現する」(自己実現の欲求)

といった5つの欲求である。(1~4は欠乏欲求。5は成長、創造的欲求)。

この5つの欲求には優先順位があり、人は、1→2→3→4→5の順番でしか欲求を満たすことができない。

たとえば、3の「友人を持つ」という欲求を満たすには、既に1の「のどの乾きを潤す」ことができ、2の「安全な場所に住む」ことができて、はじめて「友人を持つ」という欲求を満たすことができるといった優先順位が存在する。

ところで、この5つの欲求と「感情」は、一見、何ら関係がないように思えるのだが、実は、人は「感情」を刺激されると、この5つの欲求の何かの欲求を顕在化させるのである。

たとえば、あなたは、来月から戦争に行くことが決まったとする。当然、死の恐怖と戦うことになるが、死の「恐怖」という強い感情は、当然、「安全の欲求」を強く掻き立てる。

そんな折、偶然、生命保険のセールスパーソンと知り合いとなった。どうなるだろうか? 想像するまでもないと思う。

このように、「感情」は、普段、忘れているような潜在化された「欲求」を「顕在化」させるのである。

そして、その「感情」が強ければ強いほど、「欲求」も強くなる。「欲求」が強ければ強いほど、市場でのシェアも大きくなる。これがポジショニングの法則である。

このような法則性があるのだが、厄介なことに、この感情を刺激するマーケティングを行った場合、モラルに関係なく、5つの欲求の全ての欲求を「顕在化」させることが可能なのである。

どういうことかと言うと、上述なら、「恐怖」→「死のイメージ」→「安全の欲求」が顕在化→「生命保険購入」というシナリオであった。

つまり、アイダ理論で言えば、

「注目」恐怖(感情)
「興味」死のイメージ
「欲求」安全の欲求
「行動」生命保険購入

である。

このシナリオは、「感情」と「イメージ」をセットにした、潜在欲求を顕在化させる最強の方法論である。

ただし、よく見れば判るが、人を恐怖で支配した時、その催眠術が解けると、どうなるだろうか?

恐怖政治なら、クーデターが起こるだろう。ポジショニングにおいて、「恐怖」を煽ることは、確かに破壊力は凄いのだが、禁じ手なのである。

あるいは、この法則を積極的に悪用する輩がいる。たとえば、二束三文の英語教材を色気で煽って、高額な価格で売り、社会問題になったケースでは、以下の様なシナリオだった。

「注目」
薄着で胸元を強調し、ミニスカート姿のセールスレディーが男性本能を煽る(感情)
「興味」
英語仲間のパーティー写真と言い、派手なドレスを着たモデルのような女性の写真を見せて、嘘の将来像のイメージを焼き付ける。
「欲求」
英語教材を買ってグループのメンバーになれば、写真で見た仲間たちと楽しく英語の勉強ができると、社会的欲求(帰属欲求)を煽る。
「行動」
法外な高額の英語教材を売る。

このようなシナリオで、法外な高額の英語教材を売っていたため、当然、詐欺集団として社会問題となった。

残念ながら、人の欲求は、目的が善か悪かに関係なく、同じ反応をしてしまう。このような悪徳商法の防御策は、正しい知識を持ち、感情をコントロールする理性を持ち合わせる以外、方法がないのである。

また、残念ながら、一度、騙された人が何度も騙されてしまうのは、ポジショニングの法則が働いているためなのである。




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