2014年5月4日日曜日

スモールビジネスは、なぜ、成功しないのか?(14) スモールビジネスの「成熟期」 起業家の時代  マイケル・E・ガーバーより

スモールビジネスは、なぜ、成功しないのか?(14)
スモールビジネスの「成熟期」 起業家の時代 
マイケル・E・ガーバーより




スモールビジネスの「成熟期」は、企業の成長における第3段階にあたる。

この時期になると、スモールビジネスとして起業した企業は、もう、スモールビジネスは卒業である。

このレベルにある会社の例としては、マクドナルド、ディズニー、IBMなどの優良企業があげられる。

しかし、これらの企業は、幼年期や青年期を無事に通り過ぎたからといって、成熟期に到達したわけではない。

ましてや、歴史がある会社だから、事業規模が大きいから「成熟期」の段階にあると言っているわけでもない。

では、なぜ、これらの企業は、幼年期や青年期を無事に通り過ぎることができ、スモールビジネスを卒業できたのだろうか?

それには、「成熟期」に成長する理由がちゃんと存在する。

「成熟期」にまで成長する企業の創業者は、事業に対して、成長できない企業とは全く違った視点を始めから持っているのである。

とはいっても、成熟期の企業のような視点で立ち上げられた会社であったとしても、幼年期と青年期を卒業しなければ、成熟期の企業になることはない。

しかし、「成熟期」にまで成長する企業は、成長できない企業とは全く違った視点と方法で、それらの時期を通過するのである。

その視点と方法が、真の意味での起業家の視点と方法なのである。

では、その例として、IBMについて見て行こう。

IBMの創業者であるトム・ワトソンは、IBMを成功させた理由について聞かれた時、次のように答えたと言われている。

「IBMが今日の姿に成長したのには、三つの特別な理由があります。

最初の理由は、事業を立ち上げて間もないころから、はっきりと会社の将来像を描いていたことです。

言い換えれば、私の夢やビジョンが実現した時に、会社がどんな姿になっているのかを想像する能力を持っていたということでしょう。

二番目の理由は、会社の将来像を決めた後に、そのような会社なら、どんな行動をするべきだろうか? と、自分に問いかけ、これを繰り返すことで、私は成長を遂げた後のIBMがどのような企業活動をしているのかについて、明確なイメージを創り上げていきました。

三番目の理由は、私がIBMを立ち上げて間もないころから、優良企業の経営者と同じくらいの厳しい基準をもって経営しようと心掛けたことです。

なぜなら、平凡な企業が突然、優良企業になることはできませんので、優良企業になるためには、会社を立ち上げた時から、毎日、優良企業のようなしっかりとした経営をしなければならないのです。

IBMでは、創業当初から、このような青写真がありました。そして、毎日、将来像に近づけるように、仕事が終わった時に、その作業がどれくらい進んでいたのかを確認していました。

そして、現在の姿と現在あるべき姿にギャップがある場合は、そのギャップを埋めるのが、翌日の課題となったのです。

ですから、今、思えば、私はIBMで商売をしていたのではありません。事業を成長させることに精力を注いでいたのです。

IBMでは、事業を経営していたのではなく、事業を創造していたのです。」

彼の話は示唆に富んでおり、優良企業が優良企業である理由、そして、景気が悪くなると平凡な企業が生き残れなくなる理由を知るヒントになる。

また、本当に優れた企業は、優れたビジネスモデルに基づいて創られてきたこともわかる。

経営者にとって、最重要なのは、商品やサービスではなく、起業家の視点を持って経営することであり、優れたビジネスモデルを創ることである。

トム・ワトソンは、起業そのものに情熱を持っていたと言われているが、残念なことに事業を起こす人の大半はそうではない。

彼らの大半は、収益の上がるビジネスモデルをもたないまま、ただ毎日、仕事を山のようにかかえ、起業家としてではなく、職人の労働をこなしているだけである。

そして、企業の目的を取り間違える。企業の目的とは、決して利潤追求ではない。

企業の目的とは、市場を創造することであり、利潤とは、そのために企業が継続的な活動をするために必要な条件なのである。

そして、「成熟期」に成長する企業は、利潤が上がる優れたビジネスモデルを起業当初から、持っているのである。



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