2014年4月30日水曜日

スモールビジネスは、なぜ、成功しないのか?(11) 職人タイプの経営者の「青年期」マネージャーの時代(2) 「空中分解する倒産」マイケル・E・ガーバーより

スモールビジネスは、なぜ、成功しないのか?(11)
職人タイプの経営者の「青年期」マネージャーの時代(2)
「空中分解する倒産」マイケル・E・ガーバーより





スモールビジネスの「青年期」の選択肢の2番目は、倒産を選ぶ道がある。スモールビジネスが最も倒産する時期が、「幼年期」から「青年期」に入ったばかりの時期である。

それは、ひたすら成長を続け、そのスピードゆえに空中分解するのである。

「青年期」に入った企業が、職人タイプの経営者のエゴから、「幼年期」へ回帰しようとして「事業の縮小」をして倒産するよりは、受注に追いつけず、倒産する方が、まだ、痛みは少ない倒産である。

そして、毎年、数十万件もの企業が倒産するが、共通するのは、そのほとんどの企業が、ほんの一瞬だけ起業家精神が宿った職人タイプの人間によって立ち上げられた企業である。

ひたすら成長を続け、そのスピードゆえに空中分解して倒産する企業の特徴は、商品開発ばかりに注力し、事業全体のことは忘れてしまうために失敗してしまう。

つまり、力を入れるポイントを間違えてしまうのである。

たとえば、飲食業によく見られる、注文のない多種類の創作メニュー、小売業なら、多すぎる品揃え、医者なら、患者がいない医療機器など、在庫や設備を抱えても、全く経営に貢献しないものがそれだ。

また、空中分解して倒産する事業は、ハイテク時代の象徴でもある。

たとえば、半導体事業がそのよい例だ。半導体は、3ケ月間で新商品開発を行い、半年後には、新製品が販売される。つまり、最低でも年に2回は商品が新商品に入れ替わるのである。

このような猛烈なスピードに対応するために設備投資をしても、元が取れるかどうか分からない内に、半年後には、新商品製造のために、さらに新たな設備や資材が必要になる。

こうなると、ビジネスというよりは、こういった事業はバクチだ。頼れるのは、運とスピードと技術力である。

しかし、こういった業界は、市場サイズが巨大なため、運とスピードと技術力に自信のある、一攫千金を目論む企業が、ひっきりなしに参入して来る。

そして、市場は、常に激しい競争が行われ、他の業界では考えられないスピードで競争が進み、事業の体制を整える時間すらない。

つまり、この種の事業では、一瞬の才能の輝きや強運が勝敗を決めるレースのようなものなのである。

いわば、バクチだ。ところが、そんな業界の現実を知らずに、この業界に夢を描き、ハイテク業界に参入し、短期間に空中分解する企業が後を絶たないのだ。



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